失業など存在しないという前提に立つ〈供給側〉の考え方では、このことは正しい。
失業が存在すれば、この前提は崩れてしまう。
同じことを行うならば、効率よく行った方がいいというのは、〈需要側〉から見ても同じである。
〈需要側〉の考え方からみれば、景気が悪いときには、公共部門の縮小が経済全体の効率化につながるという見方自体が、必ずしも正しくはない。
失業が存在するからである。
失業が発生しているとき、政府も民間もそれぞれのリストラを押し進め、余剰人員をどんどん出せば、吸収するところがないので、失業がますます深刻化するだけである。
失業がないという〈供給側〉の考え方では、余剰人員を出せばより効率のよい他部門に吸収されると考えられていたが、失業があるならば、リストラされた人はもっとも効率の悪い使い方、すなわち失業して何もしないという「使い方」をされてしまうのである。
以上からわかるように、失業が発生しても、賃金が下がって企業は安い労働力を雇おうという気になるため、失業はすぐに解消する、というのが〈供給側〉の考え方である。
このような状況に直面した場合、実際には賃金と同時に物価も下がっていくため、実質賃金は変わらず、その上デフレが消費をかえって冷えさせて、ますます失業を深刻化させてしまう。
〈需要側〉の考え方である。
〈需要側〉から見た公共投資それでは、〈需要側〉の考え方に立てば、不況期にはどのような政策をとればよいのであろうか。
不況期には失業が存在し、民間に任せるだけでは、すべての労働資源が有効に利用されることにはならない。
したがって、公共部門が積極的に活動して、これらの労働資源を有効利用しなければならない。
そのために、公共投資が必要なのである。
公共投資に関する〈需要側〉の考え方というと、余剰資源の有効利用というよりも、景気刺激策という側面を思い浮かべる人の方が多いかもしれない。
これから述べるように、〈需要側〉の考え方を冷静に押し進めると、財政支出による景気刺激効果という考え方には、いろいろな問題点のあることがわかる。
それにもかかわらず、〈供給側〉の考え方と〈需要側〉の考え方とが対立するとき、公共投資による景気刺激効果の大小をめぐる議論が、かなりの比重を占める。
このことが、政策論争に無駄な誤解を招き、大きな弊害を生み出しているのである。
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